さて、今回のぶるすなさんのやってみたシリーズは、
「EAを利用する場合はブローカーサーバーと近いサーバー(VPS)を利用した方がいいと一般的に言われているが、実際のところVPSの違いがEAの成績にどれほどの影響を与えるか」
です!
うん、なんか長いね。
「今回の」とかつけて人気シリーズみたいに言ってるけど、別にシリーズ化してない、何なら初の試みですよね?
ブ、ブローカーのサーバーに近いVPSの方がPing値は当然小さくなる(応答速度は早くなる)ので、Ping値が小さいほど約定にかかる時間が短くなり、結果としてスリッページが小さくなるなどが考えられます。
ただ、あくまで理論的にはそうという話であって、実際のトレード成績にどれくらい違いが出るのかググっても出てこなかったし自分でも調べたことがなかったわけです。
でもまあブローカーのサーバーに近いところを使っておけば別にいいんじゃないの?
それはそうなんだけど、VPSを使うためにはどうしても利用料がかかるわけです。サーバーロケーションによっては国外のVPS会社を使う必要があるので、円安の昨今では国内VPSよりも割高になりがちです。
さらにはEQUINIX(エクイニクス)をチョイスすると他よりも割高だったりするので、特に大差なければ安い方を使った方がコストカットになるわけです。
また、ロケーションがNYとかだと日本からVPSにアクセスして操作する場合にラグがあったりするので、それはそれで不便なんだよね。
専門用語が多かったりでちょっと難しくてよく分かりません。
そんなあなたのために少し用語を解説しながら進めて行きます。
知ってるわい!って人はすっ飛ばして読み進めて下さい。
はじめに
はじめに基本的な用語や知識について。VPSやEAに関する知識に自信ニキは特に読まなくてOKです!
ちなみにVPSに関することは過去記事にも書いてあったりはするので、お時間のある方は改めて読んでもらえると嬉しいんだな。おむすびが食べたいんだな。
用語の解説
EA(Expert Advisor)
EAは、自動取引プログラムのことであり、予め設定された取引ルールに基づいて自動的に取引を行います。トレーダーの取引戦略を自動化し、感情の影響を排除することができます。
Ping(ピンまたはピング)
Pingは、FX取引において重要な役割を果たす通信速度を示す指標です。取引プラットフォームとブローカーのサーバーとの間の通信速度を測定し、トレーダーが取引を行う際のリアルタイム性に影響を与えます。
VPS(Virtual Private Server)
FXのVPSとは、仮想専用サーバーの略称です。VPSは、インターネット上の仮想空間にある、あなた専用のコンピューターです。VPSを使うと、自分のパソコンを起動していない間も、FXの自動売買を24時間365日稼働させることができます。VPSは、FX取引に役立つ様々な機能を提供しています。
EQUINIX(エクイニクス)
EQUINIXは、世界最大級のデータセンターサービスプロバイダーです。FX業者の中には、EQUINIXのデータセンターにサーバーを設置しているところが数多くあり、以下のようなメリットがあります。
- 約定力向上
- スリッページ減少
- リクオートの減少
- 安定した取引環境
ありきたりなことしか書いていませんね。
しかもかなりAI臭い文章ですね。
(今回はGemini君にちょっと手伝ってもらいました。)
EAの成績に与える要因
同じEAであれば同じような投資成績が出ると思っている初心者さんは結構いるのですが、同じEAを使ったとしても同じ成績が出ることは稀です。
「あの人は爆益なのに自分は損なんだけどどうして!?」
「成績がいいので買ったのに稼働させてみたら損ばっかりするんだけど!?」
みたいなことはしょっちゅう起こります。
- ブローカー(スプレッドや手数料、LPの違い)
- サーバー(通信環境)
①については比較検討している方も多く、同じEAであっても、ブローカーによっては利益が出ないどころか大損するみたいなのはあるあるです。
理由は主にスプレッドや手数料ですが、スリッページなどの一見して分かりづらい隠れコストが影響することがあるので検証は非常に重要です。
参考にたっくんさんのツイートを転載しておきます。
20万はでかいね!
ロットが大きくなればもっと差が生まれることにもなるし、時間が経てば経つほど差は開いていくのでEAは実は稼働させる人の実力や考える力が試されるんだよね。
ブローカー間の比較はある一方で通信環境(今回はPing値)による違いの検証はあまりなさそうだったので一度やってみようと思ったわけです。
今回の検証概要
さて、早速今回の検証について説明したいと思います。
実際に今回の検証で目的を達成することができたのか、気にかかったポイントはあるのだけど、まずは報告します。
検証の目的と仮説の明確化
異なるping値の状況下でEAを運用し、pingがEAの成績に与える影響を評価。
仮説は、サーバーロケーションが近く、Pingが小さいサーバーでの結果が最良であるというもの。
「VPSはブローカーのサーバーロケーションと近いことが望ましい。なぜならサーバー同士の物理的な距離が近ければ近いほど通信が高速(Ping値が小さい)であり、約定に差が出ると考えられるため。」
というのを改めて検証してみようというところです。
検証方法
ThreeTraderのRaw口座を使用
同一口座に対し異なるロケーションのVPSから同一EAを稼働させて成績を比較
Threetraderのサーバーはニューヨークにあるため、ニューヨークと東京という2つのVPSを利用してEAを稼働させます。これにより、異なるロケーションのVPSでのping値の違いによる成績への影響を比較検証します。
検証期間
2024/02/06~2024/03/08
現在進行形で稼働させて継続してデータを取っていますが、この記事執筆時点での検証期間です。
検証に用いたVPS
- FXVM ニューヨークサーバー
- beeks 東京サーバー
今回はこの2つのVPSを使用しました。実際のPing値の差はコチラ。
実際に数値として比べると80倍くらいの開きがあるんだね。
そうなんだけど単位が「ms(ミリ秒)」なので本当に両方とも刹那なので、これが実際にEAの成績に影響を与えるかどうかは不明なのです。
検証に用いたEA
スキャルピングやデイトレード、朝スキャなどのPing値が影響を与えそうなEA
ナンピンやグリッド、アノマリーや時間軸が比較的長いロジックのものは元々スプレッド耐性があるので、Ping値の差がそもそも影響を与えないと考え外しました。
今回の検証では、時間軸の短い約定や処理速度が要求されるロジックのEAを使っています。
すでに持っているものを寄せ集めて使いましたが、まあ大体下記に書いてあるようなものです。
一番Ping値が影響を与えそうなブレイク系は使わなかったんだ?
ブレイク系は処理速度が大事なので、個人的にMT5でしか使いたくないのだよね。
そんなわけでMT4しか使えないThreetraderでの検証だったので敢えて外してあります。最近ブレイク系不調だったってのもあります。
検証結果
先に結論から記載します。
FXVM(Ping値が小さい)がbeeks(Ping値が大きい)よりも成績がよかったです。
今回の検証では事前に立てた仮説通りの結果となりました。
後ほど考察をしますが、まずは詳細な結果を見ていきたいと思います。
基本的に早い方(FXVM)を左に、遅い方(beeks)を右で比較していきます。
総合成績比較
FXVMの勝ち
FXVM +11.07% > beeks +9.73%
単純比較で有意差ありそうな感じでFXVMの方が成績がよかったです。
検証用でロットをそこまで入れてないので金額的には4000円くらいの差ですが、割合的にはそこそこの開きかと思います。
ちなみに下記ツイートをしているのですが、週末の再起動の際に一つのEAが設定が狂ってしまい(稼働時間の設定が外れ)差が出てしまいましたので、イレギュラーを外した状態でも比較してみます。
イレギュラーを除外した比較
微妙に数字は変わるものの、FXVMが成績がよかった結果には変わりはありませんでした。
EAロジック別比較
続いてEA個別の比較をしていきます。あらかじめマジックナンバーで振り分けていましたが、ざっくり見ていきます。
スキャ系
FXVMの勝ち
推移は微妙に違うのですが、トータルするとそこそこ違いが出ました。
日々チェックしている中ではそこまで大きな差は出ていなさそうでしたが、取引回数がそこそこあったので積み重なって差が出たように思います。
別にEAを隠すつもりはないですが、これは過去記事でも紹介した下記のEAです。アオタロウさんのEA、この期間においてもかなり調子良かったように感じました。
トレンドフォロー系
FXVMの勝ち
差がないと思っていたけど振り返ってみるときっちり差が出ていたみたい。これはSEVENさんのEssential一つだけの結果です。
他のはトレード回数多いから割愛したい気持ちだけど、これについては大したことない数なので詳細な取引を見てみたいと思います。
一つ一つ見比べてみると0.1pipsとか微妙に違うのが積み重なって差がでている感じです。めちゃくちゃな開きはなく、最後のトレードに関してはbeeksの方がプラスだしクリティカルな感じはありませんな。
朝スキャ系
FXVMの勝ち
あらかじめ前述のイレギュラーの結果は外してありますが、朝スキャ系においてもFXVMの方が成績がよかったです。
これはある意味想定通りで、差が出るとしたらここかと思っていたのである意味よかったなというところです。
考察
今回の検証ではPing値が小さいVPSの方が同じEAであってもよりよい成績が出ることが分かりました。
ちょっと疲れたので個別には見ないのですが、エントリーが微妙にズレることでTPに微妙に刺さらずに決済のタイミングが異なるなどがあったので、約定速度により大きな差となり得ると感じました。
いや、疲れず最後まできちんと考察しろよ!
ただ、少しもっと深掘りすべき点もあるのではないかという疑念も感じたので書き記しておきます。
早い方の注文が遅い方の注文を単純に邪魔した結果なのでは?
仕組みについて詳しくないのですが、もし一つの口座から受けることができる注文が一つだとしたら、Ping値が早い方が当然先に受け付けられるので、同一口座で同一EAを回すことで差が出るのは当然である可能性があります。
同じEAだから当然同じようなタイミングで注文が飛ぶので、早いVPSがあることで本来であれば出なかった差が出ている可能性があるってことね。
ただ、それは他のユーザーが同じようなタイミングで注文を出した場合でも変わらないかもしれないので、そう考えると他のユーザーとの競争の上では早ければ早い方がいいとも言える。
ロットが大きいともっとすごい差が出るのでは?
一般的にはロットが大きいほどスリッページは発生します。これもあまり詳しくないので色々教えてもらった話で真偽を確かめれていませんが、大きい注文であればカバー先を探すために滑る可能性が高くなります。
今回のような0.1ロットくらいの小さいロットよりも、例えば1ロットくらいの検証であればもっと明確な違いが生まれたかもしれません。
実際に今まで他のEAでロットを分割したら成績が上がったことがあるもんね。
その経緯があってEAにロット分割機能を入れたんだけど、実際のところはどうなのか詳しくないので分からない()
いずれにしてもロットが大きければもっと大きな差となった可能性は十分あると感じています。差が出たEAのみで今度はロットを10倍くらいにして検証してみるのもありかもしれません。
余談ですが、聞いた話だとロットというよりかはレバレッジに応じてスリッページが変わると、とあるブローカーの中の人に聞いたことがあります。
例えば同じ1ロットであっても証拠金100万円と1000万円では前者の方がより滑るみたいな感じです。確かめてないので話半分に聞いておいて下さい()
まとめ
今回の検証ではPing値が小さいVPSで稼働したEAがよりよい成績を残すことが確認できました。
排除すべき懸念事項はあるものの、ある程度の確からしさをもって、
VPSはブローカーのサーバーにより近いところが望ましい
と言えるのではないかと思います。
海外FXでは基本的にサーバーはNYやLDにあるから、日本のVPS会社よりも海外のVPS会社を選択した方が利益が出る可能性があるってことだね。
あくまで自分の考えはそうですが、実際のところは使っているEAやロットサイズによっても異なると思います。
円安の影響もあって海外のVPSはどうしても日本のVPSよりもコストが高くなるので、コストパフォーマンスを考えてVPSを選ぶべきだと思います。
例えば、月々の利益が数千円のやり方をしている状態でVPSの料金が数万円みたいな状態は好ましくないと思います。
VPS料金は固定費になるので、場合によってはそこをまず抑えることも大事だよね。
でもそうなってくると、ブローカーが提供している無料VPSを使うのもいいかもしれないね。
ブローカーが提供しているVPSは基本的にサーバーロケーションと近いところなので、選択肢としては賢いと思います。
ただ、VPSのメモリやCPUによっても約定速度は変わると言われているので、無料でもスペックが低いと思った結果が得られない可能性があるんだよね。
悩みは尽きないね…